こんにちは!やっぱり小説が好きなShoHaru(@Kobeshima8)です。
本日はこちらの小説をご紹介します!
『流浪の月』凪良ゆう
広瀬すず・松坂桃李のダブル主演で、映画が2022年5月13日(金)に公開されます。
ネタバレなしの記事ですが、魅力が伝わるようにあらすじを紹介していきます。
『流浪の月』を読むきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
👇この記事で書いてある内容
評価
この本を読んで得られること
この本を読むのにおすすめな人
あらすじと感想
まとめ
評価
5/5(☆☆☆☆☆)
著者の作品を初めて読みましたが、細かな心理描写と表現力の高さが素晴らしく、いっきに読んでしまいました。
多様性の世界が叫ばれている時代に合った小説だと感じました。
その意味では、内容は違えど「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」と通じる部分があります。
しかし、『流浪の月』はストーリーと心理描写から少し息をするのが苦しくなる部分がある作品です。
一方で、それを十分補えるほどに気持ちの入る作品でもあります。
それではネタバレなしでご紹介していきます。
得られること
・自分の知っていることは、世界のほんの一部でしかないこと
・自分自身の浅はかさ
おすすめな人
・人の心の動きが描写された小説が好きな人
・本屋大賞受賞作が好きな人
あらすじと感想(ネタバレなし)
あらすじ
父親が去り、母親が去り、幸せな生活から突然独りになった9歳の少女である更紗は、叔母の家に引き取られます。
そこでは自分の居場所を見つけることができずにいたある日、ふとしたきっかけで秘密を抱えた大学生の文と過ごすようになります。
更紗にとっては居心地のいい毎日でしたが、世間から見ると「誘拐犯」と「被害女児」という事実になっていました。
事実と真実は違っていたのです。
そして、二人の日々は終わりを迎えますが、その後の二人の人生はこの事実で見られるようになります。
その後、大人になった更紗と文は再会を果たし日々が描かれていきますが、「事実と真実はちがう」ことに苦しめられ続けます。
果たして、更紗と文はどうやって生きていくのか。
そして、文の秘密とは。
感想
ありきたりにストーリーを書くと”男女関係”になってしまいますが、この作品はそれに当てはまりません。
なぜかと言うと、2人の感情描写の場面で、「恋愛感情はない」、「異性として好きではない」という言葉が度々出てくるからです。
作者の意図として、恋愛感情からくる関係ではなく、ただ一緒にいたい人間関係としての男女を描きたかったのだと思います。
お互いがお互いを照らし変化していく月のような存在であり、似ているけど交わらない、それでいて絡み合った二人の関係が細かく丁寧に描かれています。
中でも二人の関係を表している内容をご紹介します。
中途半端な理解と優しさで、わたしをがんじがらめにする。あなたたちから自由になりたいのだ。
「流浪の月」より
これは、ある場面での更紗の心の声です。
名言という言葉にはあたりませんが、はっとさせられる内容です。
なぜなら、優しさは相手に通じてこそ優しさになる、という当たり前のことを普段は忘れていることに気付かされたからです。
自分が普通だと思って差し出した優しさが、相手を傷つけていることすらあるということです。
自分が優しさだと思っていても、相手を苦しめる暴力に変わっているかもしれません。
そんな人自分の周りにはいないよ、と言う人もいるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか?
人のことをどこまで知っているか自分は理解しているのでしょうか?
もしかしたら相手は秘密を抱えて生きているかもしれません。
多様性が存在する世界になるからといって、多様性の数だけ傷つく人が増える世界になっては意味がありません。
そうならないために、普通ということを少しでも疑って、日々を過ごす必要があるのだと気付かされました。
『流浪の月』の登場人物には共通する秘密があります。
それは、母親の愛情を受け続けられなかった、というものです。
母親の愛情は一人一人違った形です。
どんな形の愛情を受けられなかったかは、是非本書を読んでいただきたいです。
まとめ
ストーリーは苦しくて悲しいはずですが、心地よく読める内容で、最後も焦燥感はありません。
前述のとおり、時に苦しくもなりますが、更紗のキャラクターもあって気持ちよく読み進められます。
これらは、著者の「文と更紗 ふたりが楽に生きられる世界であるようにと願って書きました。」という想いがこもっている作品だからだと思います。
心理描写が巧みな作品は、読み手の心を揺さぶってきます。
ネタバレなしであらすじをご紹介しましたが、是非読んでみてください。
『流浪の月』今の時代とこれからの時代におすすめです。
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